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東レのスピンオフベンチャーが提案、“最高ランク”の生地を使った国産アパレルが好調

?橋本知佳子

新作のウィメンズムーンテック?Tシャツ

Image by: FASHIONSNAP

新作のウィメンズムーンテック?Tシャツ

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新作のウィメンズムーンテック?Tシャツ

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 東レ発のスピンオフベンチャー「ムーンレイカーズ(MOONRAKERS)」が手掛ける高機能アパレルアイテムが、着実に支持を広げている。東レの先端素材や東レとJAXAの共同開発技術を元に、小松マテーレや丸井織物など、東レ合繊クラスターの参加企業との協業によって開発した、従来の機能性素材の“ワンランク上”の性能を持つオリジナル生地が強みで、これまでに実施した40回を超えるクラウドファンディングでは累計4億円以上の支援金を集めた。

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最先端技術を注ぎ込んだ機能性ウェア

 ムーンレイカーズは2020年9月に東レの社内ベンチャーとしてプロジェクトをスタートし、2023年11月に東レからスピンオフし独立起業。「TECHNOLOGY FUTURE, ALTERNATIVE FASHION」をコンセプトに掲げ、日本の先端テクノロジーを搭載した“進化する服”を通じて、「快適で便利で美しい未来の生活」の創造を目指している。

 代表の西田誠氏は、東レと「ユニクロ(UNIQLO)」の協業のきっかけを作り、東レからユニクロへの1人目の出向者としてフリースやTシャツ、カットソーの商品開発に従事。「ヒートテック」の初期開発にも関わった人物だ。プロジェクト立ち上げ当時、長く続いたデフレの影響で、国内アパレル企業では高機能だが価格も高い素材は採用されにくくなっていた。西田氏は「高い生地を使った高い服は売れない」という意見に疑問を持ち、自社でのアパレル開発に着手した。

 主力のムーンテックTシャツには、JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)と東レが国際宇宙ステーションでのウェルネス向上を目指して共同開発した「宇宙技術」など、12の先端技術を取り入れた先端素材「ムーンテック(MOON-TECH)」を使用。アンモニア臭を初期値で99%抑制する高い消臭性能や、黄ばみの原因になる皮脂汚れの固着を抑制する防汚性能、UPF50+の衣料品としては最高レベルのUVカット機能、通常の吸水速乾素材基準(拡散性残留水分率試験で60分以内に水分率10%以下)の約2倍近いスピード(約30分で水分率10%以下)の速乾性能などを備える。

一番人気のムーンテックTシャツ(4950円)。光学迷彩の技術によって水染みが見えないため、夏場のグレーTシャツでも汗染みを気にせず着用できる。 Video by FASHIONSNAP

ムーンテックに搭載された12の技術

Image by: MOONRAKERS

 オリジナル素材はムーンテックのほか、東レの先端複合紡糸技術と超極細繊維技術を融合した「uts-fit」をベースに、ムーンレイカーズの独自加工を施し、軽量でありながら高い防風性、撥水性、耐水圧性を実現した「キマイラ スキン」、東レの軽量編立技術「KARUISHI」をベースにした超軽量防寒素材「エアフリーク ウルトラライト」、東レの先端ストレッチ素材「プライムフレックス」をベースに、織物でありながらニット素材に匹敵する超高伸縮性を実現した「アルティマフレックス」などの超高機能素材を用意。生地の機能性の高さと幅広さから、西田代表は「ムーンレイカーズの服は、自分の知る限りにおいて、“世界一”の機能性が搭載された服」と自信を示す。

 これまでにTシャツやパンツ、ジャケット、フーディーなどを発売。これらのアイテムは、SNSやレビューサイトでは「汗染みが出ない」「アイロン不要」「臭わない」「すぐ乾く」と好評を得ており、お笑いコンビ オードリーの若林正恭もファンを公言している。口コミで需要が急拡大しており、広告には予算をほとんど割いていないのも強みの一つ。最新作の「無敵の白シャツ ムーンテックシャツ(MOON-TECH?Shirt)」は、今年2月に応援購入サイト「マクアケ(Makuake)」で1000人以上が支援し、2000枚以上準備した商品が3日で完売。6月からの一般発売でも、500枚が即日完売した。

新作の「無敵の白シャツ ムーンテック?シャツ」(7920円)

国内最大級の縫製クラスターで「日本のものづくり復活」へ

 ムーンレイカーズは素材から縫製まで徹底した日本製も魅力の一つだ。

 日本繊維輸入組合によると、日本国内で流通する衣服のうち、日本製の占める割合は、1990年代前半には約50%だったのに対し、2025年時点で1.1%まで減少した。「国内の縫製職人の平均年齢が60歳と言われる中、このままでは日本製の製品がゼロになってしまう」と危惧する西田代表は、九州を中心とした縫製工場17社を結集させた「MOON∞クラスター」を結成。縫製クラスターとしては日本最大級の規模となり、日本の縫製生産量の約5%に相当する年間約300万枚の衣料品の縫製が可能だという。このMOON∞クラスターと、東レの国内原糸工場、北陸を中心とした東レ合繊クラスターの関連工場を連携させることで、素材から縫製まで日本製に徹底。一般販売で受注した際の即時生産に対応する生産体制を構築することにも成功した。

25年度は売上高倍増 直営店出店も視野に 

 ビジネスモデルの構造上、売れ残りがほぼ生じないためセールは一切行っておらず、100%プロパー販売。アパレル業界の平均在庫率が約30%(環境省「令和4年度循環型ファッションの推進方策に関する調査」より)と言われる中、ムーンレイカーズの製品在庫率は3%程度と、業界水準の約10分の1となっている。2025年度は売上高で前年比200%を達成した。事業が大きく軌道に乗り始めている状況を踏まえ、同社は「国内製造現場への安定した還元」を実行。既存協力工場に対して最低賃金の上昇に見合った水準の工賃引き上げ対応を行いながら、複数の新規工場での生産も開始した。また、顧客に対しての還元として、同社の売り上げの約半分を占める主力の「ムーンテックTシャツ」シリーズ5型で最大25%の値下げを今年1月に実施。高品質?高性能な素材を使いながら5000円を切る価格を実現させた。これらの取り組みから発注数増大につなげ、産業の復興を目指す考えだ。

 現在は約20型の商品型数を、来年をめどに倍の40型に増やす予定。まずは今年5月に初のウィメンズ向けのシルエットのTシャツを発売し、今後はキッズアイテムやスポーツアイテム、靴下やインナーなどの開発も予定している。また、来春までに初の直営店オープンも計画している。

最終更新日:

??MOONRAKERS:公式サイト

文?橋本知佳子

Chikako Hashimoto

FASHIONSNAP 編集記者

東京都出身。映画「下妻物語」、雑誌「装苑」「Zipper」の影響でファッションやものづくりに関心を持ち、武蔵野美術大学でテキスタイルを専攻。大手印刷会社の企画職を経て、2023年に株式会社レコオーランドに入社。ファッション小物?アクセサリー、繊維企業を中心に取材。

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