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帝王の遺志を継ぐ二人の後継者、「ジョルジオ アルマーニ」が描く新時代のエレガンス

?芳之内史也

2027年春夏メンズ?2027年ウィメンズクルーズコレクション

Image by: lucaspossiedestudio

2027年春夏メンズ?2027年ウィメンズクルーズコレクション

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2027年春夏メンズ?2027年ウィメンズクルーズコレクション

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 ファッション界の「帝王」と称され、イタリアンモードを世界的な高みへと押し上げた偉大なる創設者、ジョルジオ?アルマーニ(Giorgio Armani)氏がこの世を去ってから、9ヶ月が過ぎた。一代で売上高4000億円規模にまで築き上げた帝国は今、深い喪失の悲しみを乗り越え、新たな歴史に向けて静かに、しかし着実に歩みを進めた。ミラノで開催された「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」の2027年春夏メンズと2027年ウィメンズクルーズコレクションの合同ショーは、約40年にわたりクリエイションを共にしてきたメンズをけん引するレオ?デル?オルコ(Leo Dell'Orco)と、ジョルジオ?アルマーニ氏の姪で、ウィメンズの全権を握るシルヴァーナ?アルマーニ(Silvana Armani)という二人の後継者による、真の意味での新体制の幕開けを告げるものであった。両者は、ジョルジオ?アルマーニ氏が半世紀にわたって磨き上げてきた美の哲学を完璧に継承しながらも、現代の空気をはらんだリラックス感やカジュアルさという、新体制ならではのアイデンティティを提示し始めている。

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中央左)シルヴァーナ?アルマーニ、中央右)レオ?デル?オルコ

Image by: SGP

ジョルジオ?アルマーニが遺したもの

 ジョルジオ?アルマーニ氏がファッション史において果たした計り知れない功績を改めて心に留めたい。1975年のブランド設立以来、同氏は「アンコンストラクテッド?ジャケット」という革命的な発明により、それまでの窮屈で権威的なテーラードの世界に風穴を開けた。硬い芯地や肩パッドを取り払い、身体に寄り添うしなやかなドレープを生み出したジャケットは、男性には威圧感のない新しい洗練と自由を、女性には男性優位の社会で戦うためのしなやかな鎧を与えた。余分な装飾を削ぎ落とした徹底したミニマリズム、最高級の素材の追求、そして「グレージュ」に代表される、光と影の間に漂うようなニュアンスカラーの探求。同氏は単に服をデザインしたのではなく、「アルマーニ」というひとつの揺るぎない生き方、美意識そのものを創り上げたのだ。映画「アメリカン?ジゴロ」をはじめとしたハリウッドの銀幕を飾った数々の衣装や、いち早くライフスタイル全般へとブランドを拡張した先見の明も含め、同氏が遺したものはあまりにも巨大である。その重圧は想像に難くないが、今季のコレクションは、その計り知れない遺産が確実に、そして極めて美しく次世代へと受け継がれていることを証明した。

地中海の光をまとうメンズウェア、レオ?デル?オルコが表現する「大人の余白」

 今季の2027年春夏メンズコレクションのテーマは「MEDITERRANEAN MARKET(地中海に交わる光)」。古くから人々が出会い、文化を交わしてきた地中海。旅を通じて交差する物語、文化、インスピレーション、そして経験によってもたらされる変化が重なり合うこの地は、常に開かれた交流の場であり続けてきた。長きにわたりジョルジオの右腕としてメンズウェア部門のクリエイティビティを率いてきたレオ?デル?オルコは、この活気に満ちたマーケットから着想を得て、ジョルジオ アルマーニの2027年春夏コレクションを描き出した。イタリアンテーラリングの確かな技術と、地平線の先に広がる異文化へのまなざしが出合うことで、本質的な美しさを探求するワードローブが完成したのである。

Image by: GIORGIO ARMANI

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 強い陽射しに包まれた想像上の風景の中で、光は表面をやわらかく照らし、潮風の気配を残しながら、シルクは希少な顔料のように軽やかで、ほのかな輝きをまとっている。コレクション全体を優しく包み込むのは、地中海の光と色彩から生まれる穏やかな空気感だ。陽に焼けた石を思わせる純粋な白、土のぬくもりを感じさせる深いアースカラー、エキゾチックなスパイスを想起させる豊かな色調、どこまでも広がる空と海を映すコバルトブルー、そして控えめに、しかし確かな存在感を放って輝くゴールド。熱と光の中でラインと色彩はやわらかく溶け合い、日差しに満ちた風景と回廊の涼やかな陰影が静かに響き合っている。

Image by: GIORGIO ARMANI

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 レオ?デル?オルコによるメンズウェアは、アルマーニのサルトリアリズムという揺るぎない土台の上に、現代的なリラックス感と旅の情景を見事に融合させている。今季を象徴するサファリジャケットはリラックスした佇まいを描き、ジャケットはより長く、パンツはよりすっきりとしたシルエットへと進化を遂げた。シャツは構築性と軽やかさを併せ持ち、旅を感じさせるしなやかなバランスを生み出している。こうしたアイテム群には、ブランドの確固たるアイデンティティと現代性を結びつけるという明確な意図が感じられる。緻密な刺繍や豊かなテクスチャー、絶妙なプロポーション、そして細部に宿るディテールを通じて、遠く離れながらも深く結びついた伝統への深い敬意を込めたのだろう。また、大きめのバッグや実用的なトートバッグ、柔らかなシューズが装いに動きを添え、リネン、コットン、シャンタンなどの天然素材が、時間が育む価値、手仕事のぬくもり、探求と記憶を静かに映し出す。ここに、新体制のジョルジオ アルマーニが提示する「カジュアルさ」の真髄がある。それは決してラフに崩すことではなく、上質な素材と計算し尽くされたカッティングによってもたらされる、洗練された「大人の余白」の表現に他ならない。

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シルヴァーナ?アルマーニによる初のクルーズコレクション

 一方、ウィメンズウェアは、シルヴァーナ?アルマーニが初めて手掛けたクルーズコレクションとして、メンズのランウェイに華を添える形で登場した。メンズウェアと同じ地中海の豊饒な世界観を共有しながら、ジョルジオ アルマーニならではの自然体のエレガンスを、仕立ての美しいジャケット、流れるようなコート、優美なドレスを通じて表現。身体の動きに寄り添う軽やかなシルエット、控えめでありながら精緻な構築、そしてナチュラルで包み込むような色調が特徴だ。スカイブルーやダスティライラックのアクセントがやわらかな表情を添え、メンズウェアのコードは繊細かつ優雅に再解釈されている。

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 「私にとって初めてのクルーズコレクションを発表しました。そこには、ジョルジオ アルマーニのウィメンズウェアが持つ本質が表れています」と、シルヴァーナ?アルマーニは静かな自信を湛えて語る 。「私が思い描くのは、決して人目を引こうとはしないけれど、装いへの気配りを忘れない女性です。端正でありながら柔らかなラインを自然に着こなし、その人らしいエレガンスによって印象に残ります。その姿は、“MEDITERRANEAN MARKET”というテーマとも自然に重なります。そこには人やものが集まり、交わりながらも、それぞれの個性が保たれています」。

 彼女の言葉通り、コレクションには、流麗なエレガンスを備えたアイテムと響き合い、構築性と柔らかさが自然に調和するワードローブが形づくられている。メンズのテーラリングの力強さと、ウィメンズのしなやかさが交差する様は、まさに地中海のマーケットに集う多様な人々、そして無数の文化の美しい交わりを象徴しているかのようである。

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 「ファッションショーやコレクションは、そのたびにひとつの物語に新たな一章を書き加えていきます。一貫性と進化が自然に溶け合うこと。それこそが、このブランドを形作ってきたものです。それは、あり方であり、生き方であり、装い方そのものなのです」。シルヴァーナ?アルマーニのこの言葉は、ジョルジオ?アルマーニ氏が生涯をかけて追求し、遺した哲学の深淵を見事に捉えている。ジョルジオ アルマーニの服は、単なるトレンドの消費物ではなく、着る人の生き方そのものを美しく、そして尊厳をもって彩るための道具なのだ。

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 全てはめぐり、そしてつながっていく。揺るぎないオーセンティシティと、対話によって育まれる豊かさが息づく今回のコレクションは、ジョルジオ?アルマーニ氏という偉大なるマエストロの不在という最大の試練を乗り越え、ブランドが確かな未来へと向かって歩み始めたことを力強く宣言していた。

 レオ?デル?オルコとシルヴァーナ?アルマーニが示す新しいジョルジオ アルマーニは、半世紀に及ぶ伝統の重みを誇り高く背負いながらも、決して過去の栄光に縛られることはない。地中海を吹き抜ける心地よい風のように軽やかに、そしてマーケットの活気のように力強く、彼らはこれからも、時代に寄り添う真のエレガンスを私たちに提示し続けてくれることだろう。それは、創業者への最高のオマージュであり、不確実な時代における新時代のラグジュアリーの確かな道標となるに違いない。

GIORGIO ARMANI 2026年秋冬

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GIORGIO ARMANI

2027 SPRING SUMMERファッションショー

最終更新日:

FASHIONSNAP ディレクター

芳之内史也

Fumiya Yoshinouchi

1986年、愛媛県生まれ。立命館大学経営学部卒業後、レコオーランドに入社。東京を中心に、ミラノ、パリのファッションウィークを担当。国内若手デザイナーの発掘と育成をメディアのスタンスから行っている。2020年にはOTB主催「ITS 2020」でITS Press Choice Award審査員を、2019年から2023年までASIA FASHION COLLECTIONの審査員を務める。

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