
左から:エッセンスリキッド EX ブライトグロウ、エッセンスリキッド EX
Image by: FASHIONSNAP

左から:エッセンスリキッド EX ブライトグロウ、エッセンスリキッド EX
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資生堂が展開するトータルメイクアップブランド「マキアージュ(MAQuillAGE)」のファンデーション「エッセンスリキッド EX」。“ファンデ美容液”市場を作り出した立役者だ。この人気シリーズから今年2月、白玉のようにワントーン明るい澄んだ肌を叶える新作「エッセンスリキッド EX ブライトグロウ」が登場した。通称“白玉ファンデ美容液”としてSNSを中心に話題を呼び、2026年上半期@cosmeベストコスメアワードのファンデーション部門で1位を受賞。同シリーズの累計出荷数は、今年4月時点で1200万個を突破し*?、リキッドファンデーション市場で4年連続売上金額1位を誇る*?。
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このヒットはどのようにして生まれたのか。背景にあるのは、「商品開発」と「マーケティング」の緻密な連携である。ブランドの既存の枠組みを超えた挑戦について、マーケティングを担当する榊原萌々ブランドマネージャーと、商品開発に携わる三井希美アシスタントブランドマネージャーに、ヒットに至るまでの軌跡を聞いた。
*??マキアージュ調べ、期間:2022年2月?2026年4月、旧品含むシリーズ累計
*??インテージSRI+ ファンデーション(リキッド形状)市場、期間:2022年2月~2026年2月、推計販売規模(金額)

【マーケティング】榊原萌々(左):2016年大学卒業後、資生堂に入社。ブランドマーケティング職でキャリアをスタート。日本ローカルブランド?グローバルブランドおよびメイクアップ?スキンケアブランドのマーケティング職を経験し、2025年からマキアージュのブランドマネージャーを務める。
【商品開発】三井希美(右):1999年専門学校卒業後、美容部員としてキャリアをスタート。12年間、販売の第一線での接客や、美容部員教育に従事。その後、海外の現地美容部員教育やブランドマーケティング?商品開発を経験し、2022年から日本ローカルのメイクアップブランド(現在はマキアージュ)の商品開発を担当。
研究者のポケットから生まれた? 若年層ニーズと重なった開発のこだわり
?? まず、“白玉ファンデ美容液”はどのような経緯でスタートしたのでしょうか?
マーケティング?榊原萌々(以下、マーケティング 榊原):ブランド全体として「若年層の獲得」という重要なミッションを掲げていました。マキアージュは2005年に誕生し、顧客も年齢を重ねていることから、購買層は40代以降が大きな割合を占めています。そのため20代後半~30代前半の新規層を取り込む戦略を推進しています。その中で、すでに強い支持を得ていた、ファンデ美容液のエッセンスリキッド EXを軸に、どうすれば若年層に響く商品を具現化できるかを模索していました。
??? 大きな市場を作り出したエッセンスリキッド EXを超えるファンデーションを作るのは大変そうです。
マーケティング 榊原:そうなんです。そこで着目したのが、やはり若年層の嗜好です。近年の若者層には「ファンデーションを自分の肌色に合わせるのではなく、なりたい肌色に合わせて選ぶ」「より明るく透明感のある仕上がりを求める」ニーズがあります。そこから、明るいトーンのカラー展開や、美容成分グルタチオンの配合といった具体的なアイデアが肉付けされていったんです。

?? 商品開発の視点では、どのように開発が進んでいったのでしょうか?
商品開発 三井希美(以下、商品開発 三井):実は、研究者のポケットに入っていた一つのサンプルが、すべての始まりでした。そもそもファンデ美容液は、美容液の中にファンデーション成分を内包するという、技術的に極めてハードルの高い処方です。従来は、色ムラやくすみのカバー力、そしてSPF50+?PA++++という高いUVカット効果を優先するため、美容液のようなみずみずしい使用感については、どうしても多少の妥協をせざるを得ないというジレンマを抱えていました。
そんな中、研究員と「本当に作りたい、究極に心地よいファンデーションとは何か」について雑談をしていた時に、研究員が「一番作りたかったのは、実はこれなんだよね」と、ポケットから一つの試作サンプルを取り出して見せてくれました。それが、のちの白玉ファンデ美容液となる最初のサンプルだったんです。

?? 雑談の中から??
商品開発 三井:そのサンプルは、まさに“最高の美容液感”を実現した素晴らしいテクスチャーでした。その段階では、カラーも具体的な仕様も未決定。しかし、「研究者の情熱が詰まった試作」「若年層のニーズ」「マキアージュが目指す理想」という3つの要素が奇跡的に重なり合い、開発が一気に動き出しました。
?? 最近は、各社からファンデ美容液が続々と登場しています。開発段階で、白玉ファンデ美容液が目指した独自の価値とは何でしょうか?
商品開発?三井:美容液配合を謳うファンデーションは市場に数多くありますが、革新的な技術力を筆頭に、資生堂が市場をリードしているという自負があります。だからこそ今回は、お客さまが肌にのせた瞬間に「これこそが、まるで美容液そのものだ」と心から感動していただける使い心地を追求しました。

?? その直感はどこから来たのでしょうか?
商品開発?三井:美容部員としてキャリアをスタートした私が今でも大切にしているのは、店頭でお客さまと向き合ってきた感覚です。日々、多様な価値観を持つたくさんのお客さまや、現場の美容部員たちと直接触れ合ってきたからこそ、良いものに出合うと「これを出したら絶対に喜んでもらえる」「現場の美容部員が自信を持っておすすめできる」という直感が働きます。この現場目線での感性に響くかどうかを、ものづくりにおける基準にしています。
チームの垣根を越えた連携で、若年層に響く“攻め”のファンデが誕生
?? そもそもですが、商品開発チームとマーケティングチームは、どの段階で連携するのでしょうか?
マーケティング 榊原:プロジェクトの初期段階は、商品開発チームがコンセプトや生活者分析をリードします。それをどう市場に届けるかという戦略は、私たちブランドデベロップメント(マーケティング)のチームが引き継ぎます。スムーズなバトンタッチのために、かなり早い段階からプロジェクトを共有しています。ちなみに、「白玉」というワードは、商品開発チームが初期段階でつけていたものです。
商品開発 三井:私たちは商品の「産みの親」ですが、マーケティングチームは「育ての親」だと思っています。コンセプトや成分、ターゲットなど商品の個性を互いに深く共有できていなければ、自信を持って市場へ送り出せません。週次のミーティングはもちろん、普段からオンオフ問わずに気軽に相談できる、風通しの良い関係を築いています。

?? 開発を進める中で、チーム間で意見がぶつかることもあるのでしょうか?
商品開発 三井:よくありますね(笑)。コンセプトや商品化の提案の前にディスカッションを重ねるのですが、初期段階でマーケティングチームから「これでは生活者に刺さらないのでは」と厳しい指摘を受けることもあります。
ただ、同じブランドを担当していて、同じ目標を追う仲間として、「マキアージュがブランドとしてどうあるべきか」という根底の課題感を共有できています。だからこそ、ぶつかり合っても常に建設的で未来志向の議論ができるのだと思います。
?? お互いのチームから影響を受けて生まれた視点はありましたか?
マーケティング 榊原:カラー展開はまさにそうです。マキアージュのブランド規模からすると、トーンアップに振り切った「攻めた明るさ」は売上目標に対してリスクが高すぎるのではないか、という懸念が当初はありました。しかし、議論を重ねることで、ブランドとしての「攻めの姿勢」とビジネスとしてのバランスを高い次元で両立させることができたと思います。
商品開発 三井:この商品のキモである、グルタチオンの配合も、チーム間での連携が生んだものです。各種規制のハードルから、開発初期は配合を見送る方針でした。しかしマーケティングチームから「『白玉』と銘打つ以上、グルタチオンは絶対に外せない」と熱い提案があり、量産直前のタイミングで配合を決定しました。結果として、この決断が大きな差別化ポイントとなり、商品の魅力を何倍にも高めてくれました。

「日本のコスメがんばれ」 SNSの反響とカニバリを起こさない好循環
???実際に発売してからの反響はいかがでしたか?
商品開発 三井:試作段階からヒットの確信はありましたが、情報解禁後のSNSでの波及スピードは想像以上でした。ファンデーションカテゴリであるものの、下地やハイライトとして部分使いするなど、開発側が想定していなかった新しいメイク方法をお客さまが発信してトレンドを作ってくださる様子を見るのは非常にうれしかったです。
マーケティング 榊原:これまでは、マスマーケット向けに広く愛される商品を重視してきたため、少し“クセ”のある白玉ファンデ美容液がどう受け入れられるか、不安もありました。しかし、SNSで信頼感のあるインフルエンサーの方々が「なりたい肌色で選べるけれど、光の技術で白浮きしない」とロジカルに評価してくださったことを機に、驚くほどの熱量でバズが広がりました。オーガニック投稿でのSNSトレンド入りをはじめ、大きな手応えを実感しました。

???SNSでの大きな広がりに対し、どのような分析をしていますか?
マーケティング 榊原:メイクアップブランドにおいてSNS戦略は極めて重要であるため、緻密に設計していますが、今回は想定以上でした。ちょうどその時期、SNS上で「日本の化粧品、がんばれ」といった議論が活発に行われていたこともあり、その大きなトレンドと私たちの商品が奇跡的にシンクロしたのだと感じています。結果として、商品単体の枠を超え、「日本のコスメにがんばってほしい」「これこそが信頼できる日本の技術だ」といった、マキアージュや資生堂、そして日本発のコスメ全体に向けられた温かい応援や期待感へと昇華していくのを肌で感じました。
?? 販売施策についても教えてください。
マーケティング 榊原:マキアージュはドラッグストアを主とした配荷店舗数の多さが強みですが、今回は若年層向けアプローチとして、ECでのノベルティキャンペーンを実施しました。美容部員の声を取り入れて開発したファンデーションブラシをセットにしたところ、ECの初速が飛躍的に伸び、約1ヶ月半の販売を想定していた限定セットが、発売翌日に完売するほど。近年、オンラインのみで購買行動を完結する層が増加傾向にあるなか、SNSにおけるスウォッチやチュートリアル動画の充実により、オンラインでの購入に安心感もプラスされていると感じます。
???若年層の間では韓国コスメの勢いもありますが、マキアージュとしての独自価値をどのように打ち出していますか?
マーケティング 榊原:韓国コスメの優れたパッケージデザインや、トレンドを捉えたカラー展開など、学ぶべき点は大いにあると感じています。その一方で、マキアージュが一貫して守り抜いているのは「日本社会に生きる方々のためのブランド」というアイデンティティです。誕生から約20年間、私たちは日本社会に生きる生活者のメイク行動の変化やその背後にある意識の変化まで見つめ、商品開発やコミュニケーションを続けてきました。
他国の優れたカルチャーに刺激を受けつつも、私たちが目指すのは、マキアージュを使うことで自信を持て、日常で少し前向きに一歩踏み出すことをサポートする存在であり続けること。これからも、日本のビューティシーンを代表するブランドとして、社会にポジティブなメッセージを送り続けたいと考えています。

?? 新作の登場により、既存のエッセンスリキッド EXへの影響はありましたか?
マーケティング 榊原:カニバリゼーションを懸念していましたが、結果としては既存品の売上を落とすことなく、ブランド全体の底上げに成功しました。白玉ファンデ美容液をきっかけに関心を持った若年層や美容感度の高い層が、「自分には少し明るすぎるかも」と感じた場合に、既存のエッセンスリキッド EXを手に取ってくださるという、理想的な買い分けの好循環が生まれたためです。
?? 白玉ファンデ美容液において、2人が最もこだわった点を教えてください。
商品開発 三井:第一に、圧倒的に心地よい、美容液そのもののようなテクスチャーです。そして、「なりたい肌色に合わせて選ぶ」という新しい価値観に応える、トーンアップしながらも白浮きしない繊細なカラーバリエーション。色調は若年層の好みに合わせて限界まで明るく振り切りましたが、既存ユーザーにも愛される絶妙な塩梅を求めて、何度も調整を重ねました。資生堂のヘアメイクアップアーティストにも参画してもらい、リアルな使用感や使用方法の提案まで、一丸となってつくり上げました。
マーケティング 榊原:コミュニケーションの観点では、これまでマキアージュが出合えていなかった層や、「お母さん世代のブランド」というイメージを持っていた若い世代に、どう“自分ごと”として捉えてもらうかにこだわりました。従来のコミュニケーション設計からは大きく舵を切る必要があったのです。
その象徴が、2月に表参道で開催したポップアップイベントです。「白玉」のネーミングを最大限に活かし、人気パティスリーとコラボレーションした特製の白玉デザートを提供しました。美容好きだけでなく、カフェやスイーツを好む層にも向けたアプローチが功を奏し、7日間で2200人以上が来場。ブランドの認知を大きく広げる起点となりました。
日本のビューティを代表するブランドとして、100年先も愛される未来へ
?? ファンデ美容液というカテゴリーは、今後どのように進化していくのでしょうか?
マーケティング 榊原:マキアージュの根幹にある、「スキニフィケーション(スキンケアを応用したメイクアップ)」の価値は、今後もより強化させていきます。セラムファースト技術を応用した下地やルースパウダーも展開していますが、ファンデーションという枠に留まらず、この体験価値を広げていきたいと考えています。
商品開発 三井:資生堂が誇る圧倒的な研究?技術力があってこそ実現できるファンデ美容液の価値を、さらにアップデートしていきたいです。研究開発部門とこれまで以上に強固に協業し、発売後もお客さまの声を細かく分析しながら、常に品質を進化させ続けます。

?? 最後に、2人が今後マキアージュとして挑戦したいことを教えてください。
商品開発?三井:資生堂が長年培ってきた安心?安全の高い品質を守りながら、手にしたときに心躍るようなときめきを届けるものづくりを強化していきたいです。約20年間日本の美容シーンを牽引してきたブランドとして、100年後も愛されるプロダクトを創造し続けたいと考えています。
また、私自身が男の子を育児中ということもあり、メンズメイクの開発にも興味があります。若い世代におけるメンズビューティの進化には目を見張るものがあります。初めての眉ケアや、自然に肌が整うベースメイクなど、男性も安心してときめきを得られるアイテムを資生堂の知見で開発し、いつか成長した息子とメイクについて語り合うことが、一つの夢ですね。
マーケティング 榊原:白玉ファンデ美容液の発売をきっかけに、美容に関心の高いお客さまから「日本のビューティを牽引してほしい。その期待に応えてくれるのがマキアージュだ」という非常に熱い声をいただき、とても励まされました。先行きが見えにくい現代において、私たちはメイクの力を通じて、誰もが一歩を踏み出せるように背中を押したい。ブランド自らが挑戦する姿勢を示し続けること、その第一歩が今回の白玉ファンデ美容液でした。
昨年のリブランディング以降、ファンデ美容液を中心に築いてきたこのスキンケア発想の価値を、ベースメイクだけでなくリップなど他の分野にも拡張しています。例えば、荒れやすいという課題を持つリップティントに、リップケアの知見や成分を掛け合わせることで、「色が続くのに荒れにくい」という革新的な価値を生み出したのが「リップグロウボム」です。今後も、そうしたマキアージュにしかできないアプローチを通して、さまざまなカテゴリーでお客さまの毎日を鮮やかに彩っていきたいです。

最終更新日:
??マキアージュ:公式サイト
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